2026年6月30日 18時30分関ゆみん 山口博敬印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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横浜市の中区、南区、磯子区にまたがる米軍施設「根岸住宅地区」が30日、返還された。1947年に米軍人やその家族などの居住地区として接収されてから約80年。約43ヘクタールの跡地は今後どうなるのか。 地区は、横浜駅から南に約5キロの標高約50メートルの高台にある。接収後は385戸の家が建ち、教会や図書館、診療所なども置かれた。 2004年に日米合同委員会が返還方針で合意。15年までに米軍関係の居住者がすべて退去した。一方、非接収地の「飛び地」には数世帯が住む。 現在は、建物などを取り壊す原状回復工事が行われている。工事が進んだことから、今年3月の日米合同委員会で返還時期が決まった。工事完了後の27年度以降に地権者に引き渡される予定だ。区画整理に10年以上 地区は、約6割の国有地と約4割の民有地(地権者は約180人)がモザイク状に分布している。市有地もわずかにある。今後、まちづくりに向けたインフラ整備や土地の交換、集約が必要になる。 区画整理を実施し、完了には10年以上かかる見込みだ。山中竹春市長は30日の記者会見で「新たなまちづくりのスタート。防災性や利便性の向上も必要」と話した。 接収されずに残った「飛び地」の住民の存在にも触れ、「不便を強いられてきた。返還後のまちづくりも、丁寧に話を伺いながら取り組む」と語った。 市は21年、地権者らの協議を踏まえて「跡地利用基本計画」を策定し、昨年9月には「土地利用の方向性」を示した。「センターゾーン」には市立大学の医学部や研究施設を置き、低層住宅を主とする「住宅地等ゾーン」や根岸森林公園を拡張する「森林公園ゾーン」もつくる。 最寄りのJR根岸駅などから1キロ以上離れていて、高低差もある。市は、地区内にバスの発着所をつくるなどして、不便さを補う方針だ。 道路や公園などの公共施設の用地は、地権者から少しずつ土地を提供してもらう。接収の歴史や文化を伝える景観を残すことも目指すが、具体的なことは決まっていない。 返還後も当面は地区内に自由に出入りすることはできない。9月には防衛省主催の返還式典が開催されるという。地元経済界「大事な財産」 広大な土地の将来像を描く計画だけに、地元経済界の関心も強い。横浜商工会議所の上野孝会頭(上野トランステック会長)は6月25日の記者会見で、「横浜にとって大事な財産であり、横浜市には立地の特性や歴史的背景を生かし、新たな魅力を持つまちづくりを進めてほしい」と要望した。 横浜商議所では近く、横浜市などに跡地利用を巡る検討課題やアイデアなどを提言していくための議論に着手する。とりまとめを担う坂倉徹副会頭(サカクラ社長)は「根岸駅への動線が見直され、新たな横浜の観光名所になるような計画に期待したい」と語った。 また、市が計画する住宅地開発については、「富士山がよく見える眺めのよい場所でもあり、(近くにある山手や元町地区と同様の)高級住宅街として開発し、森林公園(の整備)と連動したものにしてほしい」と述べた。 川本守彦副会頭(川本工業社長)は、経済効果を重視していく必要性を訴え、「道路網の整備など、横浜の将来の発展につながる『稼げる再開発』にしないと意味がない」と指摘した。 黒岩祐治知事は30日、「施設返還は地元の長年の悲願であり、(返還という)ひとつの節目を迎えたことは大きな喜びだ」とのコメントを発表した。横浜市を中心に今後検討が進む跡地開発については、「県も円滑な跡地利用の実現に向けて必要な協力を行う」との考えを示した。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません