【社説】郵便局網の維持に交付金 将来像の幅広い合意が欠かせない2026年6月25日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●客足が減る郵便局網の維持に、国が年650億円規模の交付金を出すことが決まった●与野党の大半が賛成し、国会提出から10日足らずで改正法が成立。議論は低調だった●人口減やデジタル化を踏まえ、持続可能な将来像や適正なサービス水準の議論こそ急ぐべきだ

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客足が減る郵便局網の維持に、国が年650億円規模の交付金を出すことが決まった。人口減やデジタル化をにらみ、持続可能な将来像や適正なサービス水準を併せて議論すべきだが、進んでいない。地域生活で身近な存在とはいえ、国費の投入に国民の広い理解が得られているとは思えない。 郵政民営化法など関連の改正法が19日、国会で成立した。国に入るはずの日本郵政株の配当金と権利が消滅した郵便貯金の一部を、全国2万4千の郵便局網の維持費に回す。日本郵政に、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険の株式の3分の1超を「当分の間」保有するよう義務づける規定も盛り込まれ、民営化法が目指している完全売却は遠のく。高い集票力を持つ全国郵便局長会の意向を受け、自民党の議員連盟が中心になって改正案をまとめた。 社説は、維持にかかる費用も踏まえ、持続可能な郵便局網の姿を描くことが先だと主張してきた。明確な将来像なしに財政支援をしても、年賀状など郵便物の減少で膨らむ赤字を穴埋めするだけになりかねない。郵便局では、安全のための運転手の点呼をおろそかにするといった不祥事が後を絶たず、交付金を受け取る資格に疑問符がつく。10日足らずで成立、低調な国会の議論 だが国会での議論は低調だった。改正案は衆院の総務委員長から提出され、与野党の大半が賛成して10日足らずで成立した。与党は郵便局長会の、野党は日本郵政の労組の組織内議員を抱える。「郵政お助け法案」と批判してきた日本維新の会も、連立与党入りで態度を変えた。 郵便料金は2024年に約3割引き上げられたが、早ければ27年度中の再値上げが視野に入る。普通郵便の土曜配達を21年にやめるなど、サービスは低下傾向だ。 一方で、郵便局の数は07年の民営化時からほぼ減っていない。多くの局は集配を担わず、ゆうちょ、かんぽを含む窓口業務が中心だ。窓口の全国一律サービスにどのような水準を求め、負担をどこまで受け入れるのか。日本郵政の経営努力は十分か。利用者でもある国民の間には、さまざまな意見があるはずだが、脇に置かれたままだ。 交付金のあり方について衆院の総務委は、改正法の施行後3年ごとに「国民の理解を得られるようにするとの観点」を踏まえた再検討を求めることも決議した。必要な対応だろう。3年の間に、郵便局網の将来像について国民の広い合意づくりを進め、そのうえで交付金の要否も改めて判断するべきだ。(社説)郵政見直し案 国民の理解得られるか「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません