コラム・寄稿リベラルの再定義と「上下」対立ではない経済論 谷口将紀の論壇時評印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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政治学者の谷口将紀さんが雑誌やネットの注目の論考を紹介しながら、時事問題を読み解く「論壇時評」です。前半では、イラン攻撃で動揺する国際秩序を新たな視点で考えます。後半では、再定義を求められる左派、リベラル、野党の進むべき道について論じます。谷口将紀さん6月の「論壇時評」のポイント・欧中の接近は「多国間協調」に見えるけれど……・斎藤幸平氏、伊藤昌亮氏……経済直視求められる左派・宗教から見る米国の中東政策「多国間協調」の似て非なる議論 ロシアのウクライナ侵攻は開始から4年を超えた。米国によるイラン攻撃も、約4カ月でようやく戦闘終結に向けた覚書が交わされた。米ロ両国とも短期決着を見込んだ当初のもくろみは外れた。ロシアの軍事行動は明白な国際法違反である。イラン側にも核開発などの非はあるが、米国の武力行使も国際法違反との見方が多い。動揺する国際秩序の余波について、異なる角度からの視点を3編。 まず、国際政治学者の鈴木一人は、米ロ両国が国際秩序を破壊した事実は認めつつ、両国は目標を達成できずに経済の疲弊などの大きな代償を払っており、結果として国際秩序の重要性を再認識させる契機になったと指摘する(❶)。【論壇委員のリレーコラム「あすを探る】「からかい」が政治を遠ざける 話者を無色化する「思想が強い」とはトランス女性論、人間の自動化、カビる美術館……いま注目の論考 これに対し、中国・清華大学の達巍は、米国が世界のリーダーとしての役割から遠ざかったことで、欧州と中国の間には多国間協調をめぐる共通基盤が広がっていると論じる。欧中間の対立は個別の政策課題をめぐるものにとどまるのに対し、米欧間の対立は「ヨーロッパのアイデンティティ」に関わる根源的な問題だという(❷)。「多国間協調」を強調する点では鈴木と通底して見えるかもしれないが、中国自身が南シナ海や東シナ海で国際法秩序に挑戦している現実を踏まえれば、両者の議論は似て非なるものである。達の根底にあるのは国際秩序の価値ではなく、米欧の離間を通じて中国の利益を追求しようとする陳腐な戦略と言わざるをえない。 かつて、日米安保や在日米軍…この記事は有料記事です。残り2431文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
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