国際文化会館ジャーナリズム大賞に朝日新聞の連載「帝国の幻影」など2026年6月24日 16時30分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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公益財団法人「国際文化会館」は24日、「日本と世界の関わり」について優れた報道や論考を表彰する「第3回国際文化会館ジャーナリズム大賞」に、朝日新聞の連載「帝国の幻影~壊れゆく世界秩序」と熊本日日新聞の年間企画「TSMCインパクト」の2件を選んだと発表した。朝日新聞からは、日米安保密約に関する公文書報道も特別賞を受賞した。【連載】帝国の幻影 壊れゆく世界秩序戦後80年。米国主導で築かれた世界秩序は、ロシアの侵略行為で揺らぎ、米国自らの手で壊されつつある。強国が力で自国の利益を追求し、「勢力圏」を広げる――。帝国の幻影に覆われたかのような世界の今を伝える。 「帝国の幻影」(国際報道部取材班)は、ルールに基づく戦後世界秩序が大国の手で壊されつつある、という問題意識のもと、「帝国」や「勢力圏」をキーワードに、世界各地の現場取材や識者へのインタビューを重ねた。 全6編にわたる連載では、秩序の構築者から「壊し屋」に様変わりした第2次トランプ政権の米国、ロシア帝国の幻影を追い求めるかのようにウクライナに侵攻したプーチン政権のロシア、中東各地に攻撃を続けるイスラエル、秩序の擁護者を公言しながらアジアで覇権を強める中国、あらがうグローバルサウスなど、世界各地の現場をルポ。最終章では、暴走する大国を前に機能不全に直面する国連に焦点を当てた。国内外の20人以上の専門家にインタビューし、世界と日本の針路についても考察した。トランプ氏とプーチン氏が「勢力圏」決める世界 「正義はあるのか」 「帝国の幻影」とともに大賞に選ばれた熊本日日新聞の「TSMCインパクト」は長期通年企画で、半導体受託生産の世界最大手「台湾積体電路製造(TSMC)」の熊本進出に伴って地域社会に生じた変容を追った。 選考委員長の林香里・東京大学大学院情報学環教授(ジャーナリズム論)は、大賞の2作品について「それぞれ世界秩序の変容と地域社会の変貌(へんぼう)を描き出し、現代社会の相互連関を見事に照射した」とコメントしている。米国の公文書から迫った密約の交渉 特別賞の「日米安保密約」(政治部・藤田直央専任記者)は、1960年の日米安保条約改定で、米軍が日本から日本防衛以外で出撃する際、朝鮮半島有事に限り事前協議を不要とした密約の交渉に、米国の公文書から迫った。秘密指定を解かれた公文書を確認した信夫隆司・日本大学名誉教授から提供を受け、報じた。【連載】首相・岸信介の密約朝鮮半島への日本からの米軍出撃に口を出さないーー。日米同盟の原点である1960年の安保条約改定の際、首相・岸信介がこの密約を主導した経緯が米公文書でわかりました。安保改定から退陣への暗闘を描きます。 日米安保体制の四つの密約については2010年に民主党政権下で有識者委員会が調査結果を発表したが、日本側の文書欠落などで謎が残る。記者は全ての密約について22年以降、研究者との協力や独自の取材で日米の公文書から解明を進めた。揺らぐ日米同盟と強まる隠蔽 戦後日本が外交・安全保障の基軸とする日米同盟は密約の大義とされたが、トランプ政権の再来でその大義は揺らぎ、自民党政権下で政府の隠蔽(いんぺい)体質は強まっている。解説記事やインタビューでそうした現在の課題も指摘した。岸信介首相、日米密約を主導 米大使に「熟考尽くす」 米公文書発見 特別賞には、2024年のパリ・パラリンピックでの選手へのパワハラと不適切会計を報じた小泉耕平氏と山口なつ香氏も選ばれた。 オピニオン部門賞には、中国漁船の東シナ海での海上行動をデータ分析し、海上民兵の活動実態を立証した益尾知佐子・九州大学大学院教授らが選ばれた。 ◇ 各賞のファイナリストは次の通り▽大賞 「移民と社会」(毎日新聞)、「半島の特攻兵」(中日新聞)▽オピニオン部門賞 「日本人ファーストに対する事実に基づいた考察」(橋本直子国際基督教大学准教授)▽特別賞 「AI時代の『命綱』海底ケーブル巡る新冷戦―米中競争にテック、そして日本」(ブルームバーグニュース日本語版)有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません