独居房がスイートルームに「星のや奈良監獄」 文化財も「稼ぐ」時代2026年6月23日 11時00分(2026年6月23日 16時12分更新)有料記事伊藤誠 神田剛印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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1908(明治41)年に建てられた国の重要文化財「旧奈良監獄」(奈良市般若寺町)が改修され、高級ホテル「星のや奈良監獄」として25日に開業する。観光に活用して得た収益で、文化財を維持する試みだ。内覧会が23日にあり、かつての独居房が全48室のスイートルームとなった様子が公開された。赤れんが造り 放射状に延びる収容棟 旧奈良監獄は、明治政府が監獄の国際標準化をめざして建てた「明治の五大監獄」の一つ。重厚な赤れんが造りの2階建てで、監視所を中心に5棟の収容棟が放射状に伸びる構造だ。戦後は旧奈良少年刑務所として使われ、2017年に閉鎖された。 国が所有権を維持したまま運営権を民間に委ねる方式を採用した。星野リゾート(本社・長野県軽井沢町)が施設の改修と運営を担う。収容棟5棟のうち、4棟が宿泊スペースに。5平方メートルほどの独居房を10室つなぎ、1室のスイートルームにした。1泊14万7千円(税・サービス料込み、食事別)。 収容棟の残り1棟や別棟を活用し、受刑者らの暮らしなどを紹介する「奈良監獄ミュージアム」も併設しており、ホテルとミュージアムの収益を維持費に充てることで、文化財の保護と事業の両立を図る。 文化庁は2020年施行の文化観光推進法に基づき、文化財の活用による収益を保存・継承に還元する取り組みを強化している。今回はモデルケースの一つに位置づけられる。 大阪成蹊大芸術学部・辰巳清教授(芸術経営学)は「国の文化財は増え続けており、とくに建造物は大規模修理だけでなく継続的に維持費がかかる。保護予算が膨らむなか、文化的価値の維持と収益化の両立は喫緊の課題だ。奈良にあるお寺など複数の文化財活用事業が進めば、横の連携による地域経済活性化などの相乗効果も期待できる」と話す。 ◇威圧感よりも風格 23日にあった内覧会には、約60人の報道関係者らが集まった。 施設内を見て回ると、塗り替えた漆喰(しっくい)、れんが積みを生かした壁、現代の木製の家具や間接照明などが調和し、昔ながらの重厚感に高級感が味付けされていた。 監獄という威圧感のようなものはなく、歴史的建造物らしい風格が漂う。 客室内部は細長く、かつての独居房がそれぞれ、リビング、寝室、浴室などになっている。 2階の監視所(中央看守所)の北側には、講堂を教会風に改装したメインラウンジが広がる。天井は高さ9・4メートル。アーチ状のデザインが内装に生かされ、くつろぎの空間を演出している。改修担当者「精度に驚き」 手紙?も見つかった 旧奈良監獄は、千葉、金沢、長崎、鹿児島と並ぶ「明治の五大監獄」の一つ。7年がかりの工事の末、1908(明治41)年に完成した。 ドームの載った印象的な表門の奥には、小さなアーチを連続させた「ロンバルド帯」をあしらったロマネスク風のれんが建築が並ぶ。 設計は、建築家の故山下啓次…この記事は有料記事です。残り1034文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません