「奈良きたまち」の象徴が異色の観光拠点に 「星のや奈良監獄」開業2026年6月24日 10時30分伊藤誠印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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国の重要文化財・旧奈良監獄(旧奈良少年刑務所、奈良市般若寺町)を改修した、星野リゾートの「星のや奈良監獄」。25日に開業すれば、建物群の一部ですでに稼働している「奈良監獄ミュージアム」とともに、古都・奈良では異色の観光拠点となる。波及効果をどう生かすかは、地域経済にとって成長のカギとなりそうだ。 23日の内覧会で、掛川暢矢(まさや)総支配人はホテルの予約状況について、とくに星野リゾートの宿泊施設を利用したリピーターや、国内の客が比較的多いといい、「海外への発信機会も増やすことで、安定的に稼働すると思う」と話した。 また、周辺の観光スポットとの連携については「『きたまち』エリアは観光資源が集まって魅力的。素材を発掘して、地域全体を盛り上げていきたい」と展望を語った。 近鉄奈良駅の北側一帯を指す愛称「きたまち」。旧奈良監獄は、そのエリア内に位置する。かつては多聞城(戦国時代)や奈良奉行所があった。今は奈良女子大(旧奈良女子高等師範学校)、コスモスで有名な般若寺などで知られ、官公庁も集まっている。 同大の東側にある旧鍋屋交番きたまち案内所(旧奈良警察署鍋屋巡査派出所、国登録有形文化財)を運営する市民団体「鍋屋連絡所の保存・活用と〝奈良きたまち〟のまちづくりを考える会」の事務局次長、新井忍さん(63)は「旧奈良監獄は、きたまちの象徴的な存在だ」という。 新井さんは約30年前、大阪府内から奈良市へ移住。当時、奈良少年刑務所のすぐ近くに保育所や学校があり、多くの地元業者も刑務所に出入りして、建物の風景とともに「人々の暮らしになじんでいるのが驚きだった」という。 刑務所敷地内には何度も訪れた。ミュージアムも見学し、塀の高さ、若草山の美しい風景、建物の重厚感を実感した。同時に「『奈良監獄』の名をむき出しにしているのはすごい」と思ったという。「『ここはそういう場所だよ。よかったら来てください』みたいな感じなのかな」 エリア内は昔からの住宅街でもある。ミュージアムができてから、確かに人通りが増えた。新井さんは「歴史のモザイクみたいで、小さな楽しみがたくさんある街。多くの人に知ってもらい、観光だけでなく、住んでもらえたら」と語った。 一方、旧奈良監獄をめぐっては、西隣にあるロート奈良鴻ノ池パーク(鴻ノ池運動公園)との連携プロジェクトも奈良市などによって2022年から進められている。新しい進入路やスケートボードパークなどができており、文化・観光とスポーツが融合したスポットにするアイデアだ。 文化庁は20年施行の文化観光推進法に基づき、文化財の活用による収益を保存・継承に還元する取り組みを強化している。今回はモデルケースの一つに位置づけられる。 大阪成蹊大芸術学部・辰巳清教授(芸術経営学)は「国の文化財は増え続けており、とくに建造物は大規模修理だけでなく継続的に維持費がかかる。保護予算が膨らむなか、文化的価値の維持と収益化の両立は喫緊の課題だ。奈良にあるお寺など複数の文化財活用事業が進めば、横の連携による地域経済活性化などの相乗効果も期待できる」と話す。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません