インタビュー軍事力で覇権の再建を パランティア社共同創業者の目に入らないのは聞き手・平賀拓史印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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トランプ米政権のイラン攻撃や移民政策にAI(人工知能)技術を提供する「パランティア・テクノロジーズ」社。共同創業者アレクサンダー・カープ氏らが著した「テクノロジカル・リパブリック」(村井章子訳、日本経済新聞出版)が議論を呼んでいる。「テック業界は国家と結びつき米国の覇権を再興せよ」という、危うくも見える主張の背景にあるものはなにか。科学史・技術史を研究する東京科学大講師の河西棟馬さんに聞いた。河西棟馬さんが読み解く「テクノロジカル・リパブリック」・左派とテック右派の共通点、そして決定的な違い・テックとナショナリズムの結びつき、日本にも先例が・左派が対抗するポイントは…… ――この本をどう読みましたか。 「テックの専門的な知識を述べる『理系』本かと思いきや、『文系』の本です。非常に固い理論武装をした『思想書』ですね。政治パンフレット、プロパガンダともいえます」 ――どういうことでしょうか。 「著者のカープは起業家である一方、ヨーロッパ現代思想の中心地の一つであるドイツのフランクフルトで社会理論を学び、博士号を得た『思想家』でもあります。例えば『エンジニアリング・マインドセット』という言葉が本の中に出てきますが、これは単なる心構えではない。米国再興のため国家が掲げるべき精神・理念であり、シリコンバレーのエンジニアをその体現者と位置づけています」 「序盤で述べられる米国の科学史・技術史も、オーソドックスな先行研究を押さえ、アカデミックな作法も一定程度踏まえて書かれています。こうした思想書は従来は大学教員が書いていたが、今や起業家が書く。大学の権威喪失、弱体化を象徴する一幕です」米国の新右翼を知る意味 「テクノロジカル・リパブリック」を読む左派とテック右派の共通点、そして決定的な違い ――読んでみても、テクノロジーの具体的な話というよりも、国家や軍事、社会のあり方を論じる記述が多いですね。 「カープらの主張を、私なりに要約するとこうなります」 「シリコンバレーの技術者たちは、くだらないアプリ開発や広告事業にばかりかまけている。世界最高峰の頭脳と膨大な資金力を持つはずなのに、公益に資さないビジネスにリソースが浪費され、テクノロジーの進歩は停滞している。これが彼らの問題意識です」 「カープらは巨大IT企業を手厳しく叱りつけつつ、現状への提言として、テクノロジーの担い手たちに、確固たる国家観を持ち『エンジニアリング・マインドセット』を発揮して国民国家に貢献することを求めます。第2次世界大戦以降、核兵器を開発した『マンハッタン計画』など、学術界と国家が協力して軍事技術開発を進め、米国が超大国の座を得た。同じように現代ではITを国家の政治力、軍事力に還元して中国などの新興国家に対抗し、米国の覇権を取り戻すべきである、と」 ――ある意味、明解です。 「問題意識は、私も全く同意…この記事は有料記事です。残り2200文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人平賀拓史文化部|論壇担当専門・関心分野論壇、社会思想、歴史学、ヨーロッパなど関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする