なぜ言語は人間だけがもつのか? 必要な能力三つの重なりとメタ認知桜井林太郎印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
[PR]
言語の起源㊤ 人を人たらしめる最たるものは「言語」だろう。人間だけに言語がうまれたのは、たった一つの進化の結果によるものではなく、生物が持ちうる三つの能力が人間だけにたまたまバランスよく重なった、極めてまれな出来事だったのではないか――。そんな論文を、世界の10人の研究者が共同で米科学誌サイエンスに発表した。 サイエンス誌の論文で示された三つの能力とは、「発声学習」「規則創発」「社会協調」だ。どれか一つが欠けても言語は成立しないという。 一体どんなものなのか。日本から論文執筆に加わった帝京大学の岡ノ谷一夫特任教授(生物心理学)に解説してもらった。岡ノ谷さんはジュウシマツのさえずりの進化など鳥類の研究で知られ、第24回山階芳麿賞を7月に受ける。 「発声学習」とは、新しい音をまねをして学び、再現する能力だ。親や仲間の声・歌をまねし、求愛のほか、自分が何者かや、優れた個体だとアピールするなど、コミュニケーションとして使われる。 人間と遺伝的に最も近い霊長類にはほとんどみられないが、多くの鳥類で見られる。哺乳類ではまれだが、クジラやアザラシ、イルカなどにあり、系統的に離れた動物で独自に進化したことがわかる。 オーストラリアにすむコトドリは世界最高峰のモノマネ鳥だ。ほかの鳥の鳴き声だけでなく、例えばカメラのシャッター音や車のブレーキ音といった人工音まで正確に模写できるが、人間のように文章をつくることはできない。発声学習は言語の必要条件だが、どれほど巧みに音をまねできても、それだけで言語は生まれないという。 発声学習は霊長類ではサルなどになく人間だけなのか。岡ノ谷さんは「ヒトの赤ちゃんは、ほかの霊長類の赤ちゃんのように親にしがみつき続けることが難しい。そのため、発声によって親との接触や注意を維持することが重要になった可能性がある。こうした親子間の音声的な相互作用が、発声学習の進化にかかわったのではないか」とみる。自然とたちあがった規則 「規則創発」とは、最初は雑…この記事は有料記事です。残り1715文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人桜井林太郎くらし科学医療部専門・関心分野環境・エネルギー、先端技術、医療、科学技術政策関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする









