2026年6月12日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●H3ロケットの打ち上げが成功。失敗から半年で再開にこぎつけた●事前の検査で失敗につながった原因を見つけられなかったのは反省点●IHIエアロスペースがJAXAに不当な費用請求をしていた一件では、業界全体の体質が問われる
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日本の大型基幹ロケット「H3(エイチスリー)」の再起をかけた打ち上げが成功した。 初打ち上げの失敗後、5回連続で成功したが、昨年末に再び失敗。初期の不具合はやむをえないとはいえ、世界市場で受注を獲得するという目標にはまだ遠い。現時点での成功率は75%で、信頼性の目安とされる95%に向け、着実に実績を積み上げていくしかない。 最初の失敗時は原因究明と再発防止に1年近くを要したが、今回は6カ月間で再開にこぎつけた。衛星打ち上げの遅れを最小限に抑えることができたのは朗報だ。 ただ、再開までのスピードを重視した結果、失敗の原因に関するリスクを根本から排除できたわけではない。安定した運用の確立までにはもう少し時間がかかりそうだ。 原因究明の中間報告書によると、衛星を載せる台座の製造過程で、部品の接着が不十分で剝離(はくり)が生じていた可能性があり、失敗につながったと推測される。後続機用に製造されていた台座を調べたところ、多くの剝離が確認された。リスクを排除するには、接着剤を使ったやり方をボルトで固定する方法に変更する必要があるというが、時間もかかるため、今回は製造済みの台座を補修して使った。 先代の基幹ロケットH2Aでは、ボルトで固定する方法が取られていたといい、軽量化やコスト削減のため、H3では製造工程を見直したというから、ロケット開発の難しさを痛感する。事前の検査や点検で剝離を見つけられなかったというのは反省点だ。官民合わせて年50回の打ち上げが目標に 政府は、2030年代前半までに、官民合わせて年間30回のロケット打ち上げ能力を確保し、中長期的には年間50回を目標にするという。 しかしながら、今年3月には民間ロケット「カイロス」の打ち上げが3回連続で失敗に終わり、小型の基幹ロケット「イプシロン」も今年度中の再開を目指すが、まだ見通しは立っていない。 つい先日は、イプシロンの開発を担い、H3にも部品を供給するIHIエアロスペースが、宇宙航空研究開発機構(JAXA)との契約で、不当な費用請求が多数あったことが判明し、5カ月間の入札参加資格停止処分となった。伝統ある宇宙企業でこうした不正が確認されたことは信頼を損ね、業界全体の体質が問われても仕方ない。 企業や大学の技術開発を支援する基金の運用も3年目に入り、異業種の参入やスタートアップの設立も相次ぐ。業界の健全な発展のためにも、徹底した再発防止が必要だ。H3ロケット6号機打ち上げ成功 半年前の失敗から再起「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする















