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サッカーワールドカップ(W杯)北中米大会が、11日(日本時間12日)に開幕します。旧植民地、移民と差別、ジェンダー。熱狂の裏側を読むための3冊を、文芸評論家・陣野俊史さんが論じます。寄稿 陣野俊史(文芸評論家) FIFAワールドカップが近づいてきた。不眠と熱狂の日々だ。前回決勝のカード、アルゼンチンとフランスの再戦は? グループリーグ敗退の続くドイツは巻き返すのか。そして日本の「優勝」は? ところで、今大会から出場国が大幅に増えた。従来の三二か国から四八か国へ。変更に伴って出場国の顔ぶれが大きく変化した。「サッカー大国」とは違う、あまりサッカーをやっているイメージのない(失礼!)小さな国も顔を揃(そろ)える。具体的には、ハイチやキュラソー、カーボヴェルデ、ヨルダン、コンゴ民主共和国あたり。これらの国の代表チームがどんなサッカーを見せてくれるのか、心の底から楽しみにしている。 なぜか? これらの国の多くは、かつて大国の植民地だったからだ。旧宗主国から様々な形で独立を果たした歴史を持っており、植民地だった地域の選手たちの能力は、これまでサッカー大国の力を補完する役割を担っていた。ある国で途轍(とてつ)もないサッカーの才能を持った子どもがいれば、その子は国を跨(また)いで移動し、大国の育成システムで育つことになる。サッカーの育成は世界戦略なのである。 と同時に思うのは、サッカーというスポーツが移民によって支えられてきたこと。移民系と言うべきか。フランスにとってのアルジェリア、ドイツにとってのトルコなど、移民二世、三世の選手がその国のサッカー代表の背骨を作ってきた。だからこそ、いま、コンゴ民主共和国やハイチの代表がどんなサッカーをするのか、楽しみで仕方がない。ポストコロニアルを強く印象づける、愉快なサッカーだったら申し分ないのだが。抑圧と差別にあらがって その一助としてまず紹介したいのは、アルベルト・エジョゴ=ウォノ『不屈の魂 アフリカとサッカー』(江間慎一郎・山路琢也訳、東洋館出版社・2310円)。この本は、各国別のサッカーを紹介するガイド本ではない。アフリカのサッカーがいかに政治に蹂躙(じゅうりん)されてきたか、苦く思い知る。コンゴ民主共和国ではサッカーが為政者のプロパガンダとして使われ、アルジェリアでは宗教といっていい熱狂をサッカーは産みだすが、ダークな裏面も。コートジボワールでは、ワールドカップ出場を賭けた一戦を機に、内戦を一時中断したことがある。抑圧や差別に抗して、アフリカの人びとは不屈の魂でサッカーを支えてきた。 それから、ワールドカップで…この記事は有料記事です。残り580文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする







