「アイヌいない場で決めるな」差別展示めぐる札幌市第三者機関に批判2026年6月3日 13時15分大滝哲彰印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする
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札幌市が管理する札幌駅前通地下歩行空間(チカホ)でアイヌ民族を侮蔑するパネル展が開かれた問題を議論するため、市が第三者機関を設けたことをめぐり「国際人権法違反」との声が上がっている。議論する構成員にアイヌ民族がいないからだ。 「アイヌのことを決めるのにアイヌが入らないで、どうしてまともな政策ができるのか。これでは開拓使の時代と何ら変わりがないではないか」 1日、市アイヌ施策推進課の職員らを前に、アイヌ民族の葛野次雄さん(72)=新ひだか町=が語気を強めた。 市は、付属機関「市アイヌ施策推進委員会」の専門部会という形で第三者機関を設置。憲法や法律の専門家と弁護士の計5人でつくるが、アイヌ民族はいない。 「なぜアイヌを入れないのか」という葛野さんの問いに、同課の担当者は「議論は専門的で高度になる。客観性や中立性の観点から、実務に精通した方々などを人選した」と答えた。 集まったアイヌ民族らと市側との話し合いは、かみ合わなかった。専門家「アイヌの自己決定権を保障するべき」 国内外の先住民族政策に詳しい室蘭工業大学の丸山博名誉教授は、市の対応を「国際人権基準の原則に反しており、到底容認できるものではない」と批判する。 あらゆる差別を禁じた人種差別撤廃条約などでは、先住民族に対して「自由で、事前の、十分な情報に基づいた同意(FPIC)」を保障している。丸山氏は、「マジョリティー(多数派)社会による一方的な決定に対する歯止めとして、先住民族の自己決定権を具現化した原則のこと」と説明する。 07年に日本政府も賛成して採択された国連先住民族権利宣言は、FPICが適用される例に「立法上または行政上の措置の採択および実施」を挙げる。丸山氏は「FPICによってアイヌの自己決定権を保障するには構成員の過半数はアイヌ民族とするべきであり、それはアイヌ民族が被ってきた歴史的不正義の負の遺産を是正することからも要請される」と指摘する。 市への抗議後、会見に臨んだアイヌ民族の山下明美さん(76)=札幌市=は「私たちが訴えてきたことの成果がこれ。またチカホで差別展が開かれるのではと心配しています」と訴えた。 中央大学法科大学院の小坂田裕子教授(国際人権法)ら5人の専門家でつくる研究グループも、専門部会の設置に先立つ5月25日、市に対して意見書を提出。公的施設の運用は国際人権法に適合させること、差別を助長しない明確な指針をつくること――などを求めていた。 市は専門部会で論点整理や参考人のヒアリングをしたうえで、年度内のガイドラインの策定をめざすという。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする






