【社説】エボラ出血熱の緊急事態宣言 国際連携で支援強化を2026年5月29日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●アフリカでエボラ出血熱が流行し、WHOが3回目となる緊急事態宣言●アメリカが脱退したWHOは業務の縮小を迫られ、影響が懸念される●アメリカ不在のもとで採択されたパンデミック条約は発効する見通しが立っていない
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アフリカのコンゴ民主共和国とウガンダでのエボラ出血熱の流行について、世界保健機関(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言した。 感染者は27日現在、132人(うち死者18人)だが、疑い例は900人を超えている。WHOのテドロス事務局長は「流行拡大のスピードが対応のスピードを上回っている」として危機感を示す。 アフリカではエボラの流行が度々起きており、緊急事態宣言は3回目。2014~16年のときは初動対応の遅れもあり、死者が1万人を超える深刻な事態となった。 今回は過去にあまり流行していないウイルスで、把握が遅れたという。求められる対策は接触者の追跡、検査・医療態勢の確保、薬やワクチンの開発など多岐にわたる。長期化も想定し、WHOのもとで国や関係機関、NGOが協調して対処する必要がある。 気掛かりなのは、現地が政情不安定な地域で、医療関係者の感染も報告されていることだ。WHOによれば、病院に設置されたテントが放火される事件なども報告され、地域住民の協力を得るための取り組みも重要となる。 日本との往来は限定的で、日本で患者が発生するリスクは低いというが、対応の手順は確認しておきたい。資金や物資の支援、専門家の派遣で日本はこれまでも貢献してきた実績がある。今回も支援を惜しむべきではない。アメリカは「自国第一主義」で独自施策 エボラのように野生動物や家畜を介した「人獣共通感染症」の脅威は高まっている。 4月には、大西洋を航行中のクルーズ船でハンタウイルスの集団感染が発生した。新型コロナの流行初期には、集団感染の起きた船の寄港先が見つからず、寄港してもすみやかな下船ができないなど課題を残した。今回はスペイン政府がカナリア諸島での入港を受け入れ、乗客が下船することができた。 一方、多国間主義の後退がかつてなく懸念され、厳しい現実にも直面する。WHO予算の2割弱を拠出してきた米国が脱退し、WHOは業務の縮小や効率化を余儀なくされている。その米国は自国第一主義を掲げ、二国間協定に基づく新たな施策を展開する。 昨年のWHO総会では、米国不在のもとで新たな感染症の世界的流行(パンデミック)への対応を定める条約が採択された。ただ、「病原体アクセスと利益配分」という新たな仕組みづくりの詳細では合意できておらず、条約が発効する見通しは立っていない。利害を越え、粘り強く妥協点を見いだしてほしい。WHOが「緊急事態」のエボラ出血熱 過去にも流行 日本への影響は「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする









