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世界保健機関(WHO)が「国際的に懸念される公衆衛生上の緊急事態」を宣言したエボラ出血熱。どのような感染症なのだろうか。アフリカでたびたび流行 過去にも「緊急事態」 エボラ出血熱は、エボラウイルスによる感染症で、発熱や嘔吐(おうと)、下痢などの症状があり、重症化すると出血や意識障害が起き、死に至ることもある。致死率はウイルスの種類や受けられる医療のレベルによって変わるが、約25~90%とされる。 主に患者の血液など体液に触れることで感染する。潜伏期間は2~21日。原因となるウイルスは複数ある。自然界では、コウモリなどの野生動物が宿主になっていると考えられている。 1970年代以降、主にアフリカ中央部のコンゴ民主共和国やスーダン、アフリカ西部のギニアなどで流行が発生している。国立健康危機管理研究機構によると、76年以降これまでに30回を超える流行が報告されているという。WHOは2018年~20年にコンゴ民主共和国で流行した際にも、19年に「緊急事態」を宣言している。エボラ出血熱「緊急事態」宣言 コンゴ民主共和国で死亡80件か検出された「ブンディブギョ株」 有効な治療・ワクチンは未確立 エボラウイルスには、ザイール株や今回検出されたブンディブギョ株などがある。 東京医科大学病院渡航者医療センターの濱田篤郎客員教授によると、致死率の高いザイール株はワクチンや治療薬があるが、今回検出されたブンディブギョ株はザイール株などに比べると致死率は低いとされる一方、有効なワクチンや治療薬などは確立されていないという。 濱田さんは「下痢による脱水症状で亡くなる人が多いことがわかってきて、最近は『エボラ出血熱』ではなく『エボラ熱』ということも多い。排泄(はいせつ)物や血液に触れるなどして感染する」と話す。飛沫などで感染広がらず、「日本への影響は限定的」 咳(せき)やくしゃみを介してヒトからヒトにうつる感染症とは異なり、飛沫(ひまつ)感染や空気感染により拡大しないと考えられている。このため、濱田さんは「国際的に(流行が)広がらないという状況にあるとみられ、日本への影響は限定的だ」とする。ただ、「アフリカの流行国に行く場合は、現地で体調の悪い人に近づかないといった注意が必要となる」と話す。 WHOが「緊急事態」を出した理由については、「コンゴ民主共和国イトゥリ州で広範囲の流行があることや隣国ウガンダでも輸入例があること、イトゥリ州は紛争地帯と重なりコントロールしにくいこと、ブンディブギョ株にワクチンや治療法がないことなどが背景にあるのではないか」とみる。情報は必ずしも十分でない「今後の動向を注視する必要」 川崎医科大学の中野貴司特任教授は「WHOは今回、流行を察知してから、短期間で緊急事態宣言に至っている印象だ」と話す。「今回、患者の接触者にどれぐらいの速度で感染が広がったのかといった情報は、必ずしも十分ではない。ザイール株に比べ、ブンディブギョ株の情報は限られており、今後の動向を注視する必要がある」とする。 エボラ出血熱は、日本では…この記事は有料記事です。残り275文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人千葉恵理子くらし科学医療部専門・関心分野医療、ジェンダー、文化武田耕太編集委員専門・関心分野医療・健康、こども政策関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする