【社説】赤旗記者への脅迫 維新・藤田氏の責任は免れない2026年5月19日 19時01分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●維新・藤田氏の記者の名刺を添えたSNSへの投稿が、記者への脅迫事件の契機になった●当初から、その恐れが指摘されていたのに、藤田氏に自責の念はないのだろうか●個人情報をさらすドキシングという行為に対し、諸外国には規制を強める動きもある。政治家自ら、民主主義を支える自由な言論空間を傷つけることは許されない
[PR]
個人情報ばらまく「ドキシング」とは SNSへの投稿で「しんぶん赤旗」の記者を脅したとして、50代の男性が脅迫容疑で書類送検された。男性は日本維新の会の藤田文武共同代表の昨年10月のX(旧ツイッター)への投稿を引用。赤旗への謝罪文で藤田氏の投稿がきっかけだと認めたという。 藤田氏の投稿には記者の名刺の画像が添えられ、一部はぼかされていたが、氏名や編集部の電話番号はそのままだった。藤田氏は「犯罪を教唆したことにはならない」と言うが、記者への個人攻撃や嫌がらせを誘発しかねないと当時から指摘されていた。 にもかかわらず、いまだに画像の削除要求に応じず、実際の脅迫につながった。藤田氏に自責の念はないのだろうか。政権を担う連立与党の共同代表として、その責任は特に重いと言わざるを得ない。 発端となった赤旗の報道は、公設秘書が代表を務める会社に、藤田氏側がポスターの印刷などを発注し、政党交付金などから計約2千万円を支出していたというもの。 藤田氏が主張するように「実態のある正当な取引」だとしても、公金の身内への還流と見られても仕方なかった。記者の名刺の公開には批判的な報道を抑える狙いがあったのではないか。 一般に、住所、電話番号などの個人情報を、断りもなくネット上などに公開することは、ドキシング(doxing)と呼ばれる。英語でドキュメント(文書)をばらまくという意味だ。著名人から一般市民まで、誰もが標的になりうる。公開のされ方によっては、深刻な嫌がらせや脅迫につながる恐れがある。米国の一部の州や韓国では規制強化 米国の一部州法では、嫌がらせを引き起こして安全を脅かす目的でのドキシングが禁止されている。韓国でも近年、規制が強化されている。 政治家が記者の個人情報をこれ見よがしにさらす行為は、取材を萎縮させ、批判的な報道を封じる効果を持ち得る。「知る権利」や「報道の自由」を危うくするもので、看過できない。 政治家が直接さらさなくとも、ドキシングを誘発することもある。米国では、トランプ大統領の陣営から批判された記者の電話番号などが何者かによって広められ、支持者らから嫌がらせを受ける事態もあった。日本では、国会議員が記者のアドレスの一部が見える状態の質問状をSNSで公開する事例もあった。 メディアが市民とともに権力を監視し、問題があれば事実に基づいて批判する。民主主義を支える自由な言論空間を、政治家自ら傷つけるようなことは許されない。記者の名刺をX上で公開 維新・藤田共同代表に赤旗が削除申し入れ「嫌がらせを期待して住所をさらした」 立花孝志氏に賠償命じる判決「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする







