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国内男子トッププロバスケットボールリーグのBリーグが、有望な若手を中心とした選抜チーム「Bリーグ・ユナイテッド(以下Bユナイテッド)」を編成し、8月2日から10日の日程でオーストラリアへの遠征を実施しました。本来、夏はバスケットボールではオフで、次シーズンへ向けてのトレーニングや所属チームでの合宿等に費やす時期です。リーグがこのようなプロジェクトを立ち上げ、選手たちが大切な時間を割いてまで参加を決めたのはなぜだったのでしょうか。(スポーツライター・永塚和志)世界2位のリーグに…壮大なビジョン2025-26シーズンはBリーグにとって節目となる10年目でした。そして来たる2026-27シーズンからは最上位カテゴリーを「Bリーグ・プレミア(「以下Bプレミア)」とするなど、さらなる規模拡大を図っていきます。海外での市場拡大も重視し、「NBAに次ぐ世界2位のプロバスケットボールリーグになる」という壮大なビジョンを掲げてもいます。もちろん、世界2位を宣言するには競技力の向上も伴わねばなりません。Bリーグは2030年までに5人のNBA選手の輩出を目標にしています。昨シーズンにシカゴ・ブルズに所属した河村勇輝選手も含まれるため、あと4人のNBA選手が生まれれば目標達成となります。また、NBAに限らず選手には海外リーグへの挑戦を後押ししています。今回の海外遠征「Bユナイテッド」はその一環となるプロジェクトです。「世界との現在地」はかるためにプロジェクト初年度の昨年は、アメリカ・ラスベガスへ遠征し、NBAの若手の登竜門である「サマーリーグ」のチームと練習試合を実施。そして今年は、Bリーグがパートナーシップを結ぶNBL(オーストラリアプロリーグ)の2チームとの試合に臨みました。「Bユナイテッド」の初戦は、サウスイースト・メルボルン・フェニックス戦。相手の大きさとフィジカルに苦しみ113-60の大敗を喫しました。しかし、そこから3日後のメルボルン・ユナイテッドとの2戦目では、攻める気持ちを前面に出し、途中までは接戦。最終的には83-68で敗れはしたものの、見違えるような内容のプレーぶりを見せたのです。この試合後、Bユナイテッドの21歳、長谷川比源(ひげん)選手(横浜エクセレンス)は「プレーのすべてがうまくいったわけじゃないですけど」と前置きしつつ「圧倒的に自信になる試合だった」と力強い口調で振り返りました。その他の選手たちも一様に、大敗から短い期間で立て直せたことに誇らしさを示しました。湧川颯斗選手(三遠ネオフェニックス)は「1対1では負けた感じはしませんでしたし、ディフェンスでも守れる感じがありました」と語りました。海外の強豪と対峙(たいじ)することで、世界における自分たちの「現在地」が端的に分かってきます。Bユナイテッドの面々は軒並み、Bリーグでレベルの高い外国籍選手を相手にしてきた手応えを実感しているようでした。将来の海外リーグ挑戦については、まだBリーグでも結果を残していないとしつつも、実力がついた上で機会が訪れるのならば……と関心を表す選手が少なからずいました。オーストラリア人の父を持ちながら、これまで一度も訪れたことがなかったという渡邉伶音選手(アルティーリ千葉)は、Bユナイテッドでの活動でも大きな刺激を受けたようでした。「自分がなりうる最高の選手になるために、そういう選択肢があるならば挑戦したい」と、「NBL入り」が明確な目標になったと話しました。早く「外」のトップレベルにふれる重要性なぜ、Bリーグはこのようなプロジェクトに取り組んでいるのでしょうか。Bリーグ国際事業グループの執行役員を務める岡本直也氏は、若い選手たちに「外」を感じてもらうことが主眼に置かれていると語りました。「日本の環境がいかに恵まれたものかというのを肌で感じることがまず第一歩だと思います。この経験を日本に帰ってからも頭の片隅に持っていてほしいですし、20歳前後の選手たちを連れてきたことで、(NBA選手の輩出の)可能性は1パーセントでも上がると思うんです」スポーツでは、選手に優れた体格や身体能力があり、適切な技術やトレーニングを積ませたとしても、いかに高レベルな環境下でプレーをさせられるかで将来の到達点が変わってくる可能性があります。メルボルン・ユナイテッドには、昨シーズンまでNBAで12年間活躍し、オーストラリア代表でも長年プレーをしてきたジョー・イングルス選手が所属しており、Bユナイテッドとの試合にも出場しました。38歳のイングルス選手には10代の頃、オーストラリア国立スポーツ研究所(AIS)で技量を磨いたことが、後にNBAを含めた世界最高峰のリーグでの活躍につながったという背景があります。AISは常設の施設で、Bユナイテッドは短期間のプロジェクトではありますが、若い選手たちに指針を示すという点では共通しています。イングルス選手に、こうした若手選手向けのプロジェクトを実施する意義について尋ねると、このように答えました。「選手たちの成長には時間がかかるものですし、コーチなどの人員にお金などを投じる必要があります。そうすることで、選手たちが常に成長を見込むことが可能な環境を用意してあげるのです。Bリーグがそれをやり続けるのなら、5人以上のNBA選手が生まれると思いますよ」今回、Bユナイテッドのヘッドコーチを担ったのは、オーストラリア出身のダミアン・コッター氏。昨シーズンまで河村選手も在籍したNBAシカゴ・ブルズでアシスタントコーチでした。それ以前には育成年代のチームでの指導経験も豊富です。「海外のトップレベルのバスケットボールに触れるのが早ければ早いほど、選手はより大きく伸びます」としながら、若者への支援体制の提供がいかに重要であるかを説きました。今夏は日本代表の大会等が目白押しですが、リーグは日本協会との密な連携でBユナイテッドチーム編成とオーストラリア遠征と実施することができました。コッター氏は、このように協会とリーグが一つの方向を向いて歩みを共にする例は「世界を見渡してもそれほど多くはありません」と述べ、取り組みの意義を強調しました。リーグでは来年以降もBユナイテッドの活動継続を目指しています。今後はどのような国へ遠征をし、そしてその中から海外リーグでプレーをする選手がどこまで誕生するか、見ものです。