有料記事聞き手 専任記者・時津剛2026年8月22日 7時30分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする フランスの発明家が暗い箱の小さな穴に光を通し、初めて写真の撮影に成功してから、今年で200年。フィルムからデジタル、生成AI(人工知能)の登場と、写真はそのあり方を大きく変えてきた。写真は「事実」を写し続けるのか、いや、これまでも「事実」を写してきたのか――。写真評論家の鳥原学さんに聞いた。

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「ストック」から「フロー」へ ――今年は「写真誕生から200年」だそうですね。 「『写真』はもともと中国の古い言葉で、本物そっくりに描かれた肖像画のことでした。幕末に日本へ『フォトグラフィー』が伝わると、その訳語として使われるようになったのです」 「写真の発明には、複数の人たちが関わっていました。なかでもフランス人発明家ニセフォール・ニエプスは1826年ごろ、光の像を固定させることに成功。これを起点とすれば、今年は写真の誕生から200年になります」 ――その後、ガラス乾板などを用いた写真を経て、フィルムの時代が長く続きました。 「フィルム時代は、対象を光学的・物理的に写し取ったネガから紙にプリントし、像を可視化しました。ネガに刻まれた対象の物理的な痕跡が、事実を『記録』したという保証を与えてきました」 「一方で写真は、対象を再構築する『シミュレーション』機能も発展させました。複数のネガやプリントを組み合わせることで、単一の撮影では得られない『視覚の拡張』を実現していったのです」 「すでに19世紀には、360度を1枚に収めるパノラマ写真、両目の視差を応用した立体写真、写真測量、さらに映画へと発展しています。ことに現在の精緻(せいち)な3次元コンピューターグラフィックスや3Dプリンターなどは、写真測量の系譜に連なるものです」 ――そして1990年代半ば以降に普及したのが、デジタル写真ですね。 「デジタル時代の写真は『glass to glass(レンズから液晶へ)』とも表現されるように、物理的な実体を伴いません」 ――写真のありようは、アナログ時代と別物になったのでしょうか。 「写真の目的自体が変わったようにみえます。アナログ時代の主な目的は記録であり、即時性を求められる広告や報道を除けば、将来的にそれを必要とする誰かのために撮り保存する『ストック』の時代でした」 「しかしデジタルへの移行と…この記事は有料記事です。残り4404文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする