ストーリーそろばんの「必殺 読み上げ人」 カラオケボックス通い、ボイトレも中島隆印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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5月末、早稲田大学の学生がつかっている高田馬場駅。その近くにあるカラオケボックスで、男は、Jポップを2曲、歌い終わった。ウォーミングアップ、完了。 そして やおら紙をとりだし、読み上げはじめた。 「願いましては、53兆742億6531万9740なり、……」 そんな兆単位、億単位の数字を15個、タタタタタと読み上げる。文字の数は単体としては180個ぐらい。それを30秒ほどで読み上げた。 途中で止まらず、聞き取りやすかったか。自己評価して、納得。ボックスをあとにした。ボックス滞在時間は、30分たらず。飲み物はドリンクバーだけれど、飲むのは氷水だけ。ジュースやお茶は口の動きを邪魔しかねないから、だとか。 宮本丈裕さん、35歳。珠算のさまざまな大会で、問題を読み上げている人だ。パチパチだから8月8日は、「そろばんの日」。ことしのその日に京都である、最高峰の大会「全日本珠算選手権大会」で、読み手をつとめる4人のひとり。東京からは彼ひとりである。 宮本さんがそろばんの道に進むのは、ほとんど宿命だった。 まず、父が「フラッシュ暗算」の開発者だった。画面に次々にでてくる数字をたしていく暗算だ。そして、母は、そろばん日本一になったことがある競技者だった。 そんな両親なので、宮本さんの胎教では、クラシックではなく足し算の読み上げを聴かせた、らしい。 宮本さんは3歳でそろばんを習いはじめる。4歳で、そろばんの先生になると決心した。 1995年、5歳のとき。マイクロソフトが「ウィンドウズ95」を売り出し、パソコンが一気に普及する。そろばんは「脳トレの手段」になる。さらに、フラッシュ暗算のブームもおこった。 宮本少年は、珠算と暗算で10段をとり、数々の大会で優勝した。推薦で早稲田実業の高等部へすすむ。早稲田大では珠算部を創設した。 さまざまな大会で優勝。そろばんの指導者にもなり、10段をとる生徒、大会で優勝する生徒たちを育ててきた。 「自分で言うのもおこがましいのですが、すべては努力のたまものです」と宮本さん、習いはじめのころの練習時間は、一日2時間ほど。それが、5時間になり、10時間になっていく。 日常生活で役にたつことはあ…この記事は有料記事です。残り774文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人中島隆編集委員専門・関心分野中小企業関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする