【社説】参院審議が始まる副首都法案 膨らむ疑問、成立ありきを排せ2026年7月21日 20時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアするこの社説のポイント●副首都法案の参院審議が始まる。自民・維新の連立与党は、副首都を「数カ所」と説明し、今の国会で成立させる構え●副首都への指定には防災面の要件がなく、財政措置の規模も不明。衆院審議では野党から疑問と反対が相次いだ●法案の重点は、地元経済の活性化にあるのではないか。成立を急がず、仕切り直すべきだ

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自民党と日本維新の会の連立与党が議員立法で成立を急ぐ副首都法案は、与党などの賛成多数で衆院を通過し、参院での論戦に移る。 衆院での委員会審議は実質5時間余だった。法案のずさんさが浮き彫りになり、疑問が膨らむ。与党は今の国会で成立させる構えだが、拙速に進めてよい法案ではない。 与党の法案提出者が答弁などで明らかにした仕組みや手順は、おおむねこうだ。 首都直下地震や富士山噴火が首都圏を直撃する場合に備え、他の地域を対象に道府県単位で「副首都」を指定しておき、首都機能を代替させる。副首都がどこまで機能を担うかなどは、法成立後に政府が基本方針で示す。 副首都の指定では、国の機関や人口、経済の集積状況に関する要件を設け、それを満たす道府県は申し出に応じてすべて副首都とする。要件は法成立後に政令で定めるが、数カ所を想定している。 これに対し、野党側は次の通り疑問を呈した。 まず副首都が担うべき機能を検討した上で、どこが適地かを決める。これが当然の手順だ。副首都には様々な税財政措置が予定されており、どれほどの規模になるのか。 副首都の指定要件に、なぜ防災に関する基準がないのか。南海トラフ巨大地震などが副首都を直撃する事態を考慮しなくてよいのか。 与党側は「副首都は、既存の集積を生かすのがよい」「災害のリスクがない地域はない。特定の災害によって副首都の指定を受けられなくするのは適切ではない」などと答弁したが、説得力に欠ける。野党から「何をしたいのか、いくらかかるのか、わからない」との声が上がったのも当然だろう。 法案は、副首都ごとに整備方針を決めるとし、副首都となった道府県の意見を尊重する義務を政府に課す。 かねて副首都構想を唱えてきた大阪府市は、国への要望をまとめている。合同庁舎による国と府の機関の集約配置、東京消防庁並みの消防力強化支援のほか、起業や事業革新の拠点づくり、国際金融都市に向けた国の機関の設置、IR税制・カジノ管理規制での国際競争力の確保と、地域経済の活性化策が並ぶ。 与党は副首都法案の提案理由に「防災」を掲げ、成立を急ぐ理由を「対策に一刻の猶予もない」とする。「多極分散型経済圏」形成を表裏一体の課題とするが、国費を使って地元経済を潤わせたいというのが本音ではないか。 副首都法案は、やはり仕切り直すしかない。【解説動画】「副首都」法案、衆院通過 課題は?今後の行方は?「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません