インタビュー「命の序列」にあらがう 沖縄・伊江島から問う言葉の力と可能性聞き手・藤生京子印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
[PR]
言葉は魔物だ。人の心に明かりをともす一方で、暴力や差別に容赦なく加担もする。文筆家・翻訳家の榎本空さんは、約20年ぶりに戻った故郷、沖縄の伊江島で自問を続けている。忘れられた死者や周縁に追いやられた人々の声と、どう向き合えるのか。未来をひらく言葉とは。 ――伊江島の地から、いまの日本や世界はどう見えますか。 「戦争が具体的になってきた実感があります。『台湾有事』を念頭に政府は昨年、石垣など先島諸島の住民避難計画を公表した。のどかに見える伊江島でも、西側地域を占める米軍基地から、夜遅くまで軍用機の訓練音が響いてきます。太平洋戦争中、この島では住民の3分の1以上が犠牲となりました。いまだ開いたままの傷痕を前に、戦争反対を叫ばなければならない。焦りと憤りを覚えます」 「ウクライナやガザやイランで進行中の暴力の連鎖は、この島の歴史と地続きに見えますね。『爆弾の下からの風景』の連なりを想像したいです」 ――為政者の言葉の感性を案じる文章を雑誌「群像」に寄せました。 「強い言葉、差別する言葉、他者を人間とみなさない言葉が語られ、拡散されていく怖さを感じます。イスラエルの国防相は2023年のガザ完全封鎖の際、イスラム組織ハマスを指し『ヒューマン・アニマルズ(動物のような人間)』との戦いだと発言した。忘れられません。また今春、米国のトランプ大統領はイラン人を『動物』と呼び、橋や発電所を爆破しても戦争犯罪でないと言いました。歴史上繰り返されてきた様々な暴力の根底には、言葉による命の序列化があります」こぼれ落ちる人々の記憶 「最近の国内でも『日本人と日本人以外』という線引きで外国人排斥の動きが増幅していますが、そんな言葉が暴力を生み増幅させることを危惧します」 ――沖縄戦と、米軍統治下の1950年代の土地闘争について調査をしています。 「両親は本土の出身です。89年に伊江島へ移住し、僕は1歳から15歳までここで過ごしました。家族がお世話になった阿波根昌鴻(あはごんしょうこう)さんは、土地を接収された農民たちと非暴力の抵抗運動を展開して『沖縄のガンジー』と呼ばれた人です。住民の多くはその後、基地を受け入れ基地の話題はタブーになった。この歴史が、高校入学で島を離れてからもずっと心にありました」 ――どんな調査を?…この記事は有料記事です。残り2699文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません
この記事の続きを読むなら今がお得。初回1カ月無料+Visaギフトカードが当たる▶今すぐ登録
関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする






