深掘りネアンデルタール人と現生人類が文化を共有? トルコ洞窟の遺物から桜井林太郎印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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トルコ南部にある同じ洞窟遺跡から、旧人のネアンデルタール人とホモ・サピエンス(現生人類)の両方の化石を、京都大などが参加する日仏トルコの国際研究チームが発見した。それぞれが見つかった地層から同じ手法でつくられた石器や、装飾品として使われる貝殻なども発見され、「2万年以上にわたって異なる人類種が共通の文化を維持していた」という。背景にはネアンデルタール人とホモ・サピエンスの交流があり、種を越えた価値観の共有があったのではないかと、研究チームはみている。 研究成果が6日付の米科学アカデミー紀要に掲載された。 20万年以上前にアフリカで誕生したホモ・サピエンスは、アフリカとユーラシアをつなぐレバント地方(西アジアの東地中海沿岸地域)を経由し、約6万年前に本格的にユーラシアへ広がり始めたと考えられているが、このころのホモ・サピエンスの化石記録はイスラエルで見つかった断片的な1点しかなく、極めて乏しい。 古代ゲノム解析から、ユーラシアに分布していたネアンデルタール人と、ホモ・サピエンスは交雑したことが知られているが、どこで交雑が始まったかは謎だ。 研究チームは、レバント地方の最北端にあたるトルコ南部にあるウチャーズリⅡ洞窟で、約7.7万~5.9万年前のネアンデルタール人2人と、約5.9万~4.7万年前のホモ・サピエンス3人の化石の一部を発見した。 発見されたそれぞれの地層から、ほかに計1万9252点の石器と、食料となった計2万4236点の動物の化石、食用ではない計59点の貝殻も見つかった。ネアンデルタール人とホモ・サピエンスのいずれもが、特定の場所でしかとれない石材から同じ手法で石器をつくり、同じような動物を狩猟し運んでいたほか、特定の貝殻の収集もし、行動様式に共通性がみられるという。交雑の背景に共通の価値観? 貝殻のおよそ半数は、地中海沿岸に生息するアフリカタモトという種類。従来はホモ・サピエンスだけが装飾品として使っていたと考えられていたが、ネアンデルタール人も利用していたことがうかがえ、共通の価値観があったとみられる。 研究チームは、異なる人類種によって同じ文化が2万年以上維持された背景に、ネアンデルタール人とホモ・サピエンスの接触があったとみている。 フランスでも、ネアンデルタール人とホモ・サピエンス両者の化石が同じ洞窟遺跡から見つかっているが、出土物から異なる石器文化をもっていたと考えられている。 今回の研究では遺伝的な解析はしておらず、トルコの洞窟近辺でネアンデルタール人とホモ・サピエンスが交雑していたかははっきりしないが、研究チームの森本直記・京大准教授(自然人類学)は「交雑の背景には、両者共通の価値観があったのではないか」と話す。 論文はこちら(https://doi.org/10.1073/pnas.2609061123)。今回の成果について、東京・上野の国立科学博物館で7月14~9月6日に化石のレプリカやアフリカタモトの標本などが展示される予定。出アフリカ、人類史の謎に迫る アフリカを発祥とするホモ・サピエンスがユーラシアに拡散し始めた「出アフリカ」は約6万年前とされる。 化石記録から、レバント地方…この記事は有料記事です。残り787文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません