2026年6月25日 15時20分(2026年6月25日 20時56分更新)川西めいこ印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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捜査段階での被告の供述には通訳による「限度を超えた意訳」があったとして、高裁が地裁に審理を差し戻した裁判員裁判の判決が25日、仙台地裁(榊原敬裁判長)であった。一審が強盗致死罪の成立を認めて懲役23年としたのに対し、差し戻し審は問題となった供述を排除して検討し、無罪(求刑懲役23年)の判決を言い渡した。外国人容疑者の取り調べで「限度超えた意訳」 きょうから差し戻し審 事件は2020年7月に宮城県柴田町で発生。インド国籍の建設会社長(当時45)が自宅で殺害され、バッグなどが奪われた。宮城県警は20年10月、この会社の従業員だったパキスタン国籍のレフマン・アブダル被告(43)を強盗殺人容疑で逮捕。仙台地検が強盗致死などの罪で起訴した。 起訴内容は、被告が他の者と共謀して被害者宅に強盗に入り、他の者が被害者を殺害したというもの。一審の仙台地裁は21年10月、被告が暴行行為にも加わったと認定し、懲役23年の判決を言い渡した。 一方、仙台高裁での控訴審では、暴行への関与をめぐり、捜査段階の取り調べのありようが争点になった。 逮捕後の20年11月、被告の母国語で、パキスタン東部などで使われるパンジャビ語の通訳を介した取り調べが行われた。被告は、他の者が被害者を暴行している際に、「(被告が被害者の)体を押さえていた」と述べたとされる。 しかし、録音録画されていた取り調べで、被告が「押さえる」を意味する言葉は発していないことが判明。検察側は、被告が両腕を前に出してなにかを押さえるような動作などをしており、通訳が供述と動作を総合して、適切に和訳したと理解できると主張した。 この点について24年3月の控訴審判決は、腕の動作の意味は他の解釈も可能であり、「通訳人に許される意訳には限度がある」と指摘。「被告が被害者を押さえていた」との一審の判断は証拠から認定できず、事実誤認があるとして審理を差し戻した。 これを受けて仙台地裁で開かれた差し戻し審では、問題の供述内容を証拠から排除して審理が行われた。被告は黙秘し、弁護側は無罪を主張した。 この日の差し戻し審判決は、被告を含む複数の人物が事件当日に被害者宅に出入りし、その頃に被害者が首を圧迫されて死亡したことは事実だと認定した。 その上で、被告が殺害を実行した者と共謀関係にあったかどうかについて検討。被告への依頼内容などの客観的証拠がなく、指示に従って被害者宅を訪れたところ予想外に事件が起きて、場当たり的に対応したなどの可能性もあると指摘。「事後的な事実関係からさかのぼって事前の被告の意図や目的を推認することは困難」だとして、犯罪の証明がないと結論づけた。 弁護人の斎藤拓生弁護士は取材に「『疑わしきは被告人の利益に』という刑事裁判の大原則をきちっと踏まえた判決」と評価。「通訳が的確だったのか、コミュニケーションが難しかったのではないかという問題がある」と捜査の問題点を指摘し、「はっきりしないあやふやな被告人質問の結果に基づいて事実認定をするのは冤罪(えんざい)の危険がある。それに依拠した事実認定を排斥したということは高く評価したい」と話した。 仙台地検の山口聡也次席検事は「判決内容を精査し、適切に対応したい」とコメントした。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません