【社説】選挙の公正揺るがす中傷動画問題 納得できぬ高市首相の説明2026年5月28日 19時00分印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするこの社説のポイント●中傷動画のSNS投稿に、高市首相の陣営が関与した疑惑が週刊文春の報道で浮上した●民主主義の土台である選挙の公正を揺るがす問題で看過できない●首相の説明は納得のいくものではない。徹底調査し、説明責任を尽くすべきだ

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高市早苗首相の陣営が、昨年の自民党総裁選や今年の衆院選で、他候補を中傷する動画のSNSへの投稿にかかわっていたのではないかという疑惑が指摘されている。 SNSを悪用し、有権者の投票判断をゆがめていたとすれば、民主主義の土台である選挙の公正を揺るがすものだ。首相は自身の事務所が動画の作成・発信を依頼したことはないと繰り返すが、疑念を払拭(ふっしょく)できたとは言い難い。徹底した内部調査を行い、説明責任を尽くすべきだ。「面識ない」から「会ったことない」へ 週刊文春が、動画作成に関わったという男性の実名での証言などをもとに報じた。標的とされたのは、総裁選では小泉進次郎防衛相や林芳正総務相、衆院選では中道改革連合の枝野幸男、岡田克也、安住淳の各氏ら(いずれも落選)。5月18日には男性がYouTube番組に出演。動画の作成や拡散を認め、首相の公設秘書と「やり取りして実施した」と証言した。 男性は秘書とは直接会わず、オンラインで会議をしたという。首相は当初、国会答弁などで「(男性とは)私自身も秘書も面識はない」と述べていたが、その後「お会いしたことはない」に表現を変えた。オンライン会議の「記録はない」とし、男性への依頼も否定している。 文春側は男性と秘書との間で交わされたとされる、LINEや秘匿性の高い通話アプリ「シグナル」などでのやりとりの記録を紹介。秘書からの「拡散をお願いします」という文言もあった。首相は「秘書に確認した」「私は秘書を信じます」というが、具体的な根拠が示されなければ、納得はしがたい。「Dappi」問題に通じる構図 2019年以降、匿名のSNSアカウント「Dappi」が、野党批判や自民擁護の投稿を繰り返し、発信した企業に名誉毀損(きそん)で賠償命令が出たことがあった。企業は自民関連団体と取引関係があったが、党の関与は認定されていない。匿名の個人を装いながら、実際には組織的な投稿が繰り返されていた点は、今回の問題にも通じる。 昨年の総裁選では、小泉氏の陣営が、他候補を中傷するコメントなどの投稿を関係者に依頼していたことが発覚している。同じ党内であれ、他党であれ、このような個人攻撃がまかり通るようになれば、議会政治を支える話し合いの精神が損われよう。削除のブログに「秘書が勝手にやったとは言いたくない」 首相が2月に削除した過去のブログには「問題が起きた時に『秘書が勝手にやったこと。私は知りませんでした』とだけは言いたくない」との記述があった。自らの責任で事実関係を究明すべきだ。高市氏陣営による中傷投稿報道 「秘書とやり取り」と男性が証言「社説digital」は、朝日新聞朝刊に掲載する社説をいち早くお届けします。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする