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東山奈央のキュアット解決! 連載「キュアット解決!」では放送中のアニメ「名探偵プリキュア!」(ABCテレビ・テレビ朝日系、日曜朝8時30分)のキャストが月に1度、思いを語ります。 帆羽くれあ、キュアエクレールが復活しても、森亜るるか、キュアアルカナ・シャドウは、歓迎するどころか複雑な反応を見せ、警戒する姿勢を崩しません。森亜るるかを演じる東山奈央さんが、るるかが抱えてきた使命と重荷について語ります。 ◇世界のために、くれあのために るるかが心を閉ざす理由は、彼女自身が導き出した「答え」にあります。るるかはキュアエクレールこそが、世界を噓(うそ)の影で覆う大王であると推理します。自分がその力を奪い、大王の復活を阻止できれば、くれあは探偵としての記憶を失う代わりに、幸せに生きられる、と考えます。 それが、るるかの「答え」で「使命」でもあるけれど、彼女の「本心」ではない。マコトジュエルを砕けば、くれあはるるかとの記憶もすべて失うことになります。大切な人の記憶を自ら奪わなければいけない苦しみを、るるかは抱えていました。「くれあと一緒に歩みたい」という自分の本音を、るるかは自覚していたと思います。でも、その本音を押し殺し、世界のために、くれあのために、重荷をひとりで背負うことになります。 その結果、るるかは彼女自身の意思で、エクリプス・シャドウになることを選んでしまう。自分を追い込んだ末に、扱いきれないほどの大きな力を手にしてしまいます。キュアアルカナ・シャドウの言葉、すべて真実? 東山奈央が誘う迷宮 だから私も、るるかがエクリプス・シャドウになる場面の収録は、他のキャストさんたちと距離を置き、スタジオの隅にひとりでいました。るるかの苦しい心境を演じるため、私も自分の気持ちを落とせるところまで落として追い込みました。 正直、このシーンを演じるために、この半年間があった、という感覚が私にはありました。るるかがキュアアルカナ・シャドウとなって重荷を背負っていたのも、ちょうど半年間くらいのことでした。るるかと私に「この瞬間のために半年間やってきた」という共通点があったのも、偶然ではありますが、運命的に感じていました。 ◇極限状態をどう表現するか 葛藤もありました。エクリプス・シャドウは、キュアアルカナ・シャドウと比べて、見た目も大きく変わり、黒い影に覆われて、「キュア」という言葉もない。プリキュアでさえなくなっています。そんな極限状態をどう表現するか、私なりに考えを尽くしました。 お子さんたちをただ脅かすような芝居だったら、それはもう「プリキュア」シリーズではない。キュアアルカナ・シャドウが多くの人に受け入れられ、愛してもらえていることは私のもとにも届いています。七夕の短冊の願い事に「キュアアルカナ・シャドウになれますように」と書いてくれたお子さんもいると聞きました。もしかしたら私のエクリプス・シャドウの演じ方によっては、そんな風に思ってくれたお子さんたちを怖がらせてしまう可能性もあると思いました。 でも、だとしても今は、るるかの苦悩を伝えなければ、と思いました。るるかは大切な人を守りたいという思いでひたむきに進んできて、今、エクリプス・シャドウに身を落としてしまうほど追い詰められている。キュアエクレールの謎、知るほど増える 長谷川育美の大切なきらめき るるかはくれあを守るためなら、2人の思い出が詰まったキュアット探偵事務所の資料さえ、淡々と破り捨てることができる。これだけの大きな、痛々しいほどの気持ちに、私もるるかの〝理解者〟の一人として応えたいと思いました。明智あんなと小林みくるの2人とはまた違った在り方で、帆羽くれあと森亜るるかもまた「奇跡の2人」なんです。 るるかのように優秀で、誰の助けも必要としていないように見える人が、孤独に陥り、自分を追いつめてしまうことがある。「私に失敗はない」と自分で言い切れるほどの強さ。だからこそ、だったのかも知れません。人は思いを遂げるために突き進むことがあるけれど、自分を見失うところまで進んではいけないんだと。決してお子さんを怖がらせたいわけではないけれど、もし怖いと思ってくれたとしたら、伝えるべきことは伝えられたのだと思います。そんなことも考えながら、私なりに踏み込んで演じました。 ◇るるかはただ「るるからしい」だけ るるかは、大人っぽいと思われることもあるかもしれません。たしかに、キュアアンサーとキュアミスティックの前では、果たしてウソノワールと渡り合えるのか、私が鍛えてもいい、そんな風に読み取れる行動もとっています。先輩ムーブのようにも見えますが、名探偵としてのキャリアや経験値がある分、それが「大人っぽく」「お姉さんらしく」映っているのかもしれません。 るるかは心の奥底に愛情も葛藤も抱えていますが、それらがあまり表情や言葉にアウトプットされないタイプ、というだけなんです。キュアアルカナ、キュアアルカナ・シャドウ、そしてエクリプス・シャドウと経験してきた。でも、どんなときもるるかの人格はずっと地続きのままです。大人っぽく見える振る舞いも、彼女にとってはただ「るるからしい」だけなのだと思います。 ◇ 最後の最後にくれあが「あなたの本当の答えを教えて」と投げかけたことで、るるかは「私も一緒にいたい、あなたと一緒に一歩を踏み出したい、並んで歩みたい」という本心をようやく言葉にすることができました。そして白い光に包まれてキュアアルカナの姿を取り戻し、「私の答え、示します」と言うことができた。自分の奥底にある「本当の答え」を打ち明けることができたんです。 そこに至るまで、他のプリキュアの3人が引っ張り上げてくれました。もちろん、キュアエクレールだけでなく、キュアアンサーとキュアミスティックの言葉も、るるかには届いていました。「あなたと一歩を踏み出したい」と言えたのも、キュアアンサーの「一歩の勇気が答えになる」という言葉の意味を、るるかがしっかり受け取っていたからだと思います。 以前キュアアンサーから「あなたの力になりたい」と言われても、突っぱねてきました。あなたにはわからない、私はあなたに依頼していない、と。でも完璧そうに見えたるるかは、実は完璧ではなかった。本当は手をさしのべてくれる仲間が必要だったんですよね。「おかえりなさい」と「ただいま」 キュアエクレールは「おかえりなさい」、キュアアルカナは「ただいま」と言葉を掛け合います。私の中では《こんなに大変なことになってしまって、ごめんね、ありがとう》というニュアンスも、ちょっとだけのせたつもりです。ここまで本当に複雑な歩みがありました。だからこそ、とっても幸せな「ただいま」だったんじゃないかと思います。 第31話では、るるかの「おとも妖精」のマシュタンも活躍します。マシュタンはいつでも、るるかを全面的に信頼してくれています。お母さんやお姉さんのように振る舞うこともあれば、秘密をうっかりしゃべってしまうこともあって、とにかくチャーミングな存在。占う時の「マシュマシュマシュマシュ~」っていう声も、可愛くてキュンキュンしてしまいます。【収録現場の様子ではこちらでも】悩んでるだけじゃ始まらないよ! 千賀光莉、あんなと踏み出す一歩 そのマシュタンが、エクリプス・シャドウを止められるのはキュアエクレール、あなただけだと懇願します。あの場面はキャストの間でも「涙が出そうになる」と持ちきりになっていました。るるかが怪盗団ファントムに入ることにした時も、マシュタンは信じてついてきてくれましたが、エクリプス・シャドウは状況が違う。るるかが身を滅ぼしてしまう、助けなきゃ、でも自分にはできない。これはキュアエクレールにしかできないことなんだとお願いする姿は、胸がぎゅっとなりました。マシュタンがるるかをどれだけ大切に思っているかが伝わるシーンで、羊宮妃那ちゃんのお芝居も素敵でした。 ◇前代未聞の作品、関われる幸せ これからのるるかは、抱えていた重い荷物を降ろして、ありのままの気持ちで、あんな、みくる、くれあと、少しずつ歩みを進めていきますので、ぜひ4人を見守っていただけたらと思います。上半期にこんなに色々なことがあった「名探偵プリキュア!」なので、下半期が何の波乱もなく進むはずがありません。あらゆる登場人物がまだまだ分からないことだらけ、謎だらけ。あんなは1999年から、無事に元いた2027年に戻れるのでしょうか。私自身もこの先の展開が気になって仕方ありません。 キュアエクレールの正体が判明した第25話を、友人のお子さんと、オンラインでつながりながら一緒に見たのですが、最初は時々おしゃべりしていても、ポチタンがキュアエクレールに香水を届けようとする場面から先は、どんな展開も見逃さないという様子で、言葉も発さず集中して見入ってくれていました。さまざまな世代の人が、家族でも、1人でも、SNSなどを通じて、謎解きについてみんなで熱く語り合えるのが「名探偵プリキュア!」の魅力だと思います。【収録現場の様子ではこちらでも】「眠りの小林」やりたかった? 本渡楓の憧れはアニメと吹替の二刀流 とはいえ、収録現場は大変です。いつもスタジオにいるキャストの誰かが、厳重に秘密を抱えているような雰囲気があります。これから先、どんな秘密が明らかになっていくのか。そんな前代未聞のアニメ作品に関われていることが、とにかく楽しいですし、本当に幸せです。