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現場へ! やまゆり園事件10年(3) 尾野一矢さん(53)は、事件から4年後の2020年8月、24年暮らした津久井やまゆり園を出た。事件では、首や腹を刺されて重傷を負った。それでも、身動きができない職員の求めに応じて携帯電話を捜し、110番通報につなげた。 尾野さんには重い知的障害と自閉症がある。地域で暮らす選択をした尾野さんを、記者は継続的に取材してきた。 事件から10年を迎えるにあたり、6月の日曜日、神奈川県座間市のアパートを訪ねた。尾野さんが「一矢んち」と呼ぶ自宅だ。 夜、介助者の大坪寧樹(やすき)さん(58)が、尾野さんの好きなマーボー豆腐とサラダをつくり、尾野さんがスーパーで選んだ納豆巻きといなりずしとともに食卓に並べた。食事が終わると、尾野さんはお気に入りのソファに座ってテレビを見つめた。 わきにはドラえもんのぬいぐるみ。事件当日、病院に搬送される時も手にしていたという。何げないやりとりが信頼感に 「大声出しちゃだめ?」と尾野さんが口にし、いたずらっぽく笑った。「大声出したら泣いちゃう」と大坪さんは笑顔で返した。 「言葉の意味よりも、ちゃんと自分を見てくれているかを確かめるコミュニケーションでもある。何げないやりとりが、信頼関係をつくっている」。大坪さんは説明する。 尾野さんの暮らしは、公的な障害福祉サービス「重度訪問介護」を提供する事業所から交代でやって来る介助者たちとともにある。大坪さんはその一人で、水曜と日曜の夕方から翌朝まで、そばで見守り、食事や入浴の介助、服薬管理などをして過ごす。 介助する側・される側という関係ではなく、互いの存在を肯定して支え合う関係を、大坪さんは大切にしてきた。 当初、尾野さんは大声を出し…この記事は有料記事です。残り742文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人森本美紀くらし報道部専門・関心分野障害福祉、介護、認知症、生きづらさ、単身社会 、高齢化するマンション 関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする








