ストーリー市民が入所者の思いくみ取る 「友だちのように」 施設見直しの試み森本美紀印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする
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現場へ! やまゆり園事件10年(2) 障害者施設「津久井やまゆり園」(定員60人)は、相模原市の山あいにある。5月、ここで暮らす重い知的障害のある崎広(さきひろ)勇太さん(29)は、訪ねて来た八木春行さん(72)の姿を見ると、すぐに手をつないで歩き始めた。楽しみにしていた近くのスーパーへ買い物に出かけた。 八木さんは、園が昨年9月から始めた「やまゆりフォロワー事業」を担う市民3人のうちの1人だ。園は、元職員によって入所者19人が殺害された事件の後、運営の見直しを迫られ、入所者の思いをくみ取る試みとして、この事業ができた。 フォロワーは「職員でも家族でもない友だちのような第三者」の立場で、月1回程度、施設で担当する入所者と1対1でふれあう。一緒に悩み考えながら入所者が望むことなどをつかみ、その実現につながるよう寄り添う。園が、市民向けの講座などで呼びかけ、応募者から園側が面接して選んだ。フォロワーとの相性を考え、入所者の意向も確かめた。 八木さんは、障害のある人とのコミュニケーションに関心があり、フォロワーになろうと思ったという。 この日は10回目の訪問。崎広さんがカレーパンなどを買うのを見守り、施設に戻ると、シャボン玉づくりや塗り絵をし、スマホでお気に入りのCMソングを繰り返し聴いた。いずれも崎広さんが喜びそうなものを準備してきた。「最初は戸惑いもあった」 崎広さんがシャボン玉を飛ばすと、「うまいね」。塗り絵が枠からはみ出しても、「自由な性格が出ている。違う色をたくさん使ってえらい」と声をかけた。 「初めはどう接したらいいか戸惑いもあった」と八木さんは振り返る。会う回数を重ねるうちに、「お互いに緊張が解け、彼のやりたいことや、好きなこともわかるようになった」。 崎広さんがよく口にする「せーかい。せかい」という言葉も、「えらい」と同じように自分を認めてほしい気持ちの表れだとわかった。スーパーではカレーパン以外の種類を選べることにも気づかされた。「彼の可能性をもっと知り、もし彼が地域で暮らすことを選んでも関わり続けたい」 フォロワーは訪問ごとに、そ…この記事は有料記事です。残り462文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人森本美紀くらし報道部専門・関心分野障害福祉、介護、認知症、生きづらさ、単身社会 、高齢化するマンション 関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする






