コラム・寄稿「なでてもいいよ」人を愛し、愛されたぶんちゃん 今も残るぬくもり2026年7月25日 11時00分名古屋報道センター・吉村美耶 2023年入社印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする

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愛知県弥富市の歴史民俗資料館には、全国的に有名な「学芸員」がいた。名誉館鳥の「ぶんちゃん」。メスの白文鳥で、手に乗ったり、おみくじを引いたりするふれあい業務を通じて、「白文鳥発祥の地」とされる弥富のPRに貢献した。 ぶんちゃんは6月15日に息を引き取った。8歳と1カ月。高齢を理由に、5月末でふれあい業務を終えたばかりだった。 これまで2度取材した。指の上でくつろぎ、「なでてもいいよ」と言わんばかりに頭を差し出すぶんちゃん。黒くつやつやの瞳でこちらを見上げていた。 私は鳥が好きだ。人生の半分以上をコザクラインコと共に過ごしてきた。「鳥には表情がない」と言われることもあるが、そんなことはない。おもちゃが気に入らず怒り、なでられて喜ぶ。水浴びの後はどこか満足げだ。好き嫌いもある。こちらの気持ちが伝わっているかは分からない。けれど、人が涙を流していると静かにそばに寄ってくることもある。 ぶんちゃんの人(鳥)柄も伝えたいと思った。私は知ってから日が浅く、性格をよく知らない。長く共に暮らさないと分からないことは多い。でも、ぶんちゃんをずっとそばで見守ってきた人がいる。育ての親の学芸員さんや、常連の方の言葉を借りた。 人見知りしない子で、好物は梨。若い頃はやんちゃで、来館者の顔をつついていたという。「靴ひもが好きで、よく人の足元を飛び回っていた」「昔はもっとつやつやだった。今はおばあちゃんになって、ふわふわだね」「初めて会ったときはまだヒナで、灰色だったんだよ」「ぶんちゃんに癒やしてもらった」 もう触れることのできない、指に当たったおなかのぬくもりや、ふわふわした羽毛の感触を、よく思い出す。 日々の取材では、やるせなさや憤りにも出合う。けれど、心をほんのり照らしてくれる人や存在を知ることもある。ぶんちゃんとの出会いも、そのひとつだ。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアするXでシェアするはてなブックマークでシェアする