消えた地域の目、施錠できぬ建物…被災地で急増、高騰する金属の盗難恒川隼印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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夜の冷え込みが緩まった4月。営業を終えた商業施設の駐車場に軽乗用車が1台、ぽつんと止まっていた。 石川県輪島市の中心部。近くに仮設住宅が並ぶが、夜10時を過ぎて行き交う人の姿はない。 パトロール中の警察官2人が不審に思い、車に近づく。運転席と助手席には、いずれも若い男。車内に目を向けると、折りたたまれた銅板が隙間なく積み込まれていた。 石川県警によると、運転席の下からバールが見つかった。車には、銅板以外にも屋根を飾る鬼板や仏具、水道の蛇口が積まれていた。 一方、2024年元日の能登半島地震で倒壊した輪島市内の寺からは銅板や鬼板が消えていたという。県警は車内にいた相模原市の男らが関与したとみて、窃盗容疑などで逮捕。金沢地検が窃盗罪で起訴した。 石川県警によると、県内で確認された金属の盗難被害は、震災前の23年の55件から25年は130件と約2.4倍になった。特に、大きく被災した奥能登の4市町(輪島、珠洲、能登、穴水)では、23年に1件だったのが、24年は10件、25年は25件と激増。今年1~4月では県内の被害54件のうち約半数の26件を奥能登が占めた。 増加の要因の一つと警察がみるのが、世界的な金属の高騰だ。JX金属(本社・東京)によると、銅取引の目安となる銅建値は、17年1月には1キロ約700円だったが、今年5月には約3.2倍の2240円ほどに上昇した。 真鍮(しんちゅう)製の蛇口の買い取り価格についても「この1年で1.5倍ほどに上がった」と県内の業者が明かす。1キロあたり1千円程度になったといい、「異常な値上がり」と話す。かからない鍵、消えた金属 さらに、被災地では特有の事情を訴える声があがる。 地震後、営業できなくなっていた和倉温泉の旅館「十番館」(七尾市)では今年3月、5階建ての館内から多くの金属類が消えていることがわかった。 30ほどの客室のユニットバスにあった蛇口。玄関ホールの業務用エアコン。作業のため、露出していた壁内の電気配線――。 現在、建物を保有する不動産…この記事は有料記事です。残り1002文字有料会員になると続きをお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりません関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする