[PR]
オールドメディアが響かない Z世代のリアル⑤ 多様で魅力的なコンテンツが生活に浸透し、とりわけ若者の中でマスメディアの存在感は薄れている。そう嘆く前に、マスメディアは若者の実態を捉え切れていないのではないか。若者の一人として強く思うからこそ、SNSや若者のトレンドに詳しい天野彬さん(39)に聞きたい。若者は何を求めていますか――。連載趣旨|「高い不要不信」で遠ざかる若者とオールドメディア 記者の未来考 ――率直に聞きます。若い人は「マスメディア離れ」していますか? 離れているかどうかを、どう考えるかだと思います。 総務省の「令和6年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」によると、単純な接触時間という意味では、40代以下はネットに親和性がある人が増えている。ただ、ネットにはテレビや新聞が元になっているコンテンツも混ざっています。バズった番組の切り抜き、新聞で取り上げられたニュースの議論も、「ネットを見ている時間」でカウントされています。 私は「マスメディア離れ」という論点自体を捉え直す必要があると思っています。現在も新聞やテレビには「アジェンダ(議題)」を決める力はありますが、SNSが台頭して、昔よりその主導権が分散していることがポイントだと考えます。 アジェンダは、SNS、新聞、テレビの間で循環しながら生まれ、変化しています。実際、SNSで議論されている話題は、新聞やテレビがアジェンダ設定機能を持ち、報道から火が付いたものが多いはずです。しかし、そこでは情報の出どころは意識されづらくなっています。記事のポイント・コメントと一緒にニュースを見る若者たち・なぜ「オールドメディア」批判が起きているのか・発信者に求められる「オーセンティシティ(本物であること)」とは・どうすればアルゴリズム化された情報空間に記事を届けられるのかニュースとコメントをセットでみる若者たち ――若者はニュースをどう見ていますか? ニュース本体とコメントをセットで見ているのが特徴です。事象に対して、みんながポジティブに反応するのか、ネガティブに反応するのかを重要視する傾向があります。 ――周りの反応を知りたいと思うのはなぜですか? 周りとのノリや空気を乱さないようにする社会性が発達しているからだと思います。今の10代、20代はスマホと一緒に育った世代で、自身の意見をSNSで発信すれば、様々な矢が飛んでくるのを知っています。だから、周りの意見を見て、「このニュースはこういう風に見るので間違いない」と足並みをそろえたいのだと思います。 ――「若者がニュースを見なくなった」わけではない、と。 そうですね。むしろニュースへの距離感は若い世代ほど非常に近いと感じます。ニュースアプリをインストールし、SNSを開けば色々なニュースについて議論しています。 ニュースの定義が拡散しているのも特徴です。政治・経済といった硬いニュースだけでなく、有名人の近況や個人の意見といった「ソフト」な話題もニュースに含まれるようになりました。実際に大手ニュースアプリもそうした話題を混ぜて配信しています。 ――ニュースが「ソフト化」する背景に何がありますか? ソフト化は「スッキリ化」でもあります。わかりにくいものはモヤモヤしますよね。人間には、それをわかりやすく言い換えてスッキリしたい欲望があります。その感情に応えるため、ネット上では物事がどんどん単純化されます。敵味方の構図にしたり、悪者を断定的に扱ったりしがちなのは、単純化してすっきりしたい感情が背景にあります。 ニュースをわかりやすく扱う流れは、以前からありました。テレビの情報番組で、専門家ではなく芸能人が生活者目線でコメントをするのが一例です。新しいメディアが出て、その流れが加速した面があります。オールドメディア批判が生まれる原因 ――2025年の新語・流行語大賞に「オールドメディア」がノミネートされました。ネガティブな印象が込められているように思いますが、マスメディアに対する目線をどう見ていますか。 確かに、オールドに対してニューとされるソーシャルメディアこそ「正しい」というニュアンスが込められていますよね。記事後半の見どころ若者のニュースの読み方についての考察を踏まえ、後半は「果たしてマスメディアに『伸びしろ』はあるのか」というテーマで天野さんに聞きます。最後に、取材後記で「同世代や社会との距離」について考えます。 それは今に始まったことでは…






