インタビューボランティアの審判員、万が一の備えは不可欠 共済制度設立の過去2026年5月16日 14時00分構成・室田賢印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする

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日本高野連の元事務局長が語る「高校野球半世記」 高校野球は審判員の支えなくして成り立ちません。 1999年7月、全国選手権石川大会で球審の男性が延長十一回に体調を崩し、救急車で搬送されましたが、亡くなってしまいました。当時46歳で普段は建設会社で働いており、父親、夫人、中学2年と小学6年のお子さんの5人家族でした。 県高野連は傷害保険に加入していましたが、内因性の疾病は対象にならず、かつ仕事から離れたボランティア活動中のため、労災の適用も受けられませんでした。そこで全国の有志に呼びかけて遺児育英資金を募り、3千万円あまりが遺族に送られました。「お母さんも打って」「大人がおおらかに」 王貞治さん野球界へ提言 もし、また同じことが起きた場合にどうするか。これが契機となって「役員・審判員共済制度」を設立することになったのです。 年間2千円の掛け捨てで任意加入でき、公式戦だけでなく練習試合も対象にしました。また、この共済に加入していなくても不慮の事故に対して競技団体として見舞金が出せる共済も設立。年間7千人を超える加入がありました。 この共済制度は社会人、大学、少年野球といった複数の団体で構成されました。それは審判員が世代を超えたカテゴリーで現場に立ってくれていることが多いからです。その後の10年間で、死亡事故が高校野球と中学野球で計3例ありました。 普通の傷害保険は、野球のプレーに起因した事故でなければ保険金が支払われない場合があります。だからといって生命保険の加入は難しいと思います。 高校野球の場合、生徒を引率して大会に参加する指導者に万が一のことが起きた際、公務災害として補償を受け取ることができます。ただ、役員や審判員は石川の例のように労災の対象になりません。 困ったことに、オレンジ共済組合が私的流用した詐欺事件が1996年に発覚。これを受け、2006年に改正保険業法が施行され、民間での共済制度ができなくなりました。 そのため、残余金の約1億円を全日本野球協会に帰属させ、新たに「役員・審判員見舞金基金」として、基金が枯渇するまでは災害給付を継続しています。 アマチュア野球は、いろんな方に関心を持ってもらっているからこそ、何かあったときの準備も大切なのです。 ◇ 日本高校野球連盟の事務局長や理事などとして半世紀にわたり、運営に携わってきた田名部和裕さん(80)が、高校野球の歴史を振り返ります。有料会員になると会員限定の有料記事もお読みいただけます。※無料期間中に解約した場合、料金はかかりませんこの記事を書いた人室田賢スポーツ部|高校野球担当専門・関心分野スポーツ、社会関連トピック・ジャンルジャンル印刷するメールでシェアするFacebookでシェアする